それ、ほんとう? その③ スプーン

「持ちにくそうなスプーンだね・・・・」と思わず言いたくなる、柄が長くて細いスプーンが急速に広がっている。

もともとは、離乳食期の子どもの口に合い、食べやすい、介助しやすいものを・・・と細々と試作が重ねられていたものだったが、いつの間にか、これなしでは良い保育はできない!とでも言うかのように、すごい勢いで広がっている。でも、使っている皆さん、使っていてどうですか??

20年前、私もこのタイプのスプーンを使って自分の子どもにご飯をあげていた。でも、それは自分が主に介助していた0歳児のころで、子どもが自分でスプーンを持つようになってからは普通のものに換えていた。

いったいどういう宣伝文句と共にこのスプーンをすすめられたのか?ときくと、今は「箸への移行がスムーズだから」と言われるという。箸への移行を考えて、0歳児から持ちにくいスプーンを持たせるのだろうか??

0歳児は一生懸命スプーンの持ち方や扱い方、食べ物を口に運ぶコツを学んでいる時だ。お腹が空いているのに、上手く口に食べものが入らず、そのうち疲れて、眠くなってくる。それでも、上手に口に入ってきたときは嬉しいし、保育士が上手に介助しながら食べ物を口に入れてあげていれば、満腹感も満足感も得られ、気分良く布団に向かえる。

持ちやすいこと(重過ぎず、軽すぎず、細すぎず、太すぎず・・・・)、すくいやすくしっかりと口を開けてとりこめる大きさであることが、子どもにとって使いやすいスプーンの目安だと思う。それを考えると、柄が長いとどこを持ったらいいか迷うことになるし、柄が細いと手の中でクルクル回ってしまう。結果、柄の部分にホースを付けている園もあったりして、何のために買ったのかわからなくなる。

ハンガリーの乳児のスプーンは大きい。日本の人が見てまず驚くのは、スプーンの大きさだろう。「ハンガリーの子どもは口が大きいのよ」と失礼なことを言った人もいたが、答えは簡単だ。子どもがしっかりと食べようと口をしっかりとあけたら、かなり大きく口を開くことになる。それだけのことだ。そこに入るスプーンが小さかったら??大人だって、微妙に小さなスプーンやフォークで食事をすると、まるで空気でも食べているような気分になる。

保育用品は変に「子ども向け」とかんがえた使いにくいスプーンを扱っているようなので、いっそのこと、介護用品や一般のお店にあるものを見てみたらどうだろう。無印のデザートスプーンとかはどうなのかな・・・と、無印に行くたびに眺めている。

もう一つ大切なことは、あまり細かいことをむやみに考えすぎないこと。それしかない国では、それしか使えない。それでも、子どもは育っていく。乱暴な言い方だけど、細かすぎる点を考えすぎて妙なことになっている日本の保育現場を見ると、ついそんなことを言いたくなってしまう(かと言って肝心なこと―子どもが持ちにくそう―は考えられていない)

「このスプーン、子どもが持ちにくそうだなー」と思っている人がいたとしたら、あなたの感覚はまちがっていないのですよ。