それ、ほんとう?⑤片付け

日本でも、ハンガリーでも、保育園の見学をさせてもらうと、新しく考えさせられることがたくさんある。

ハンガリーではこの数十年、0歳児に近い1歳児クラスというのがほとんどなく(育児休暇と育児手当があることから)、小さい子ばかりのクラスを見学できることはごく珍しいことだった。

それが、去年から特別育児手当が導入され、育児手当をもらいながらも働くことが可能となったので、1歳児の子どもたちの乳児保育園への入所が増えている。というわけで、一歳児クラスを見学できる機会が増えてきた。



で、この冬の研修で考えさせられたのが片付けについて。

1歳児はおもちゃを持って歩く。これは、一歳児クラスの、おもちゃを増やし始めた園にとっての悩みの種で、とにかくおもちゃが散らばる。足元に落ちていると危ないので、日本の保育士はせっせと片づけるのだが・・・・ハンガリーの保育園を見ていたら、片付けない(笑)

すごい状況になりつつあるな・・・・と思いながらも、ハンガリーの保育士が何も考えないでそのままにしているということはまずないので、よくよく考えてみた。何か理由があるはずだ。

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保育士が他園に移動したので、補充があるまでは一人で12人を見ているというクラス。この人は保育助手で、保育士はおむつ交換(一人ずつ)に入っている。

一歳児の子は、一つのおもちゃでそう長いことはあそばないので、気になるものを手にとってしばらく遊んでは、また次のところに移っていく。というわけで、いろいろなおもちゃが出てくる。・・・では、このまま、部屋中のおもちゃが床に出てくるのだろうか・・・・と思うと・・・

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決してそういうわけでもない。出ているものが目に入るので、他の子が、またそこで遊び始める。すでに、その前に、他の子が形を作ったり、つなげたりしているので、そこからあそびを始められる。つまり、まったく最初からあそびを作りあげる必要もない。すでに、その前に遊んでいた子は他で遊んでいるのだから、ここで「それは○○ちゃんが遊んでいたのよ!」と大人がむきになる必要もない。

片付けやすいように、出しやすいように、かごでの収納になっているのもポイントだろう。絨毯の上の空いている空間に運んでいけるようにもなっている。

もう一つ大切なことは、遊具がそれぞれふさわしい場所であそばれていることだ。使ったものをすぐに戻すという約束事はないけれど、どこで遊んでほしいかということは伝えている。だから、床でパズルをする子はいないし、積み木を机に持ってくる子もいない。

遊具が整理されて置かれているし、あそぶ場所がはっきりしていることも大きい。

ここはとても狭い保育室なので、いろいろなコーナーがダブった作りになっているが、これもありえるのだなーと逆に参考になる。katazuke 3.jpgそうこうしているうちに、保育士がおむつ交換を終えて戻ってきた。保育士を待っていた子どもたちは、とっても嬉しそうに集まってくる。だから、ここで保育士がまずするべきことは、片付けではないのだ。子どもたち全員をぐるっと見回して、誰が何をしているかな?と見て、声をかけることだ。

そして、そこにあったブロックで一緒に遊び始め、その間に、助手の人がお昼ごはんの準備に向かっていった。

もし、この時保育士がまずは片付けから入ったら?部屋にいる大人がしょっちゅうおもちゃを片付けていたら、どうだっただろう?大人が動きまわっているだけでも、子どもは何となく落ち着かなく感じるのではないだろうか?出したら、戻す!と言われ続けていたら??

katazuke 4.jpgで、お昼ごはんが入ってきたところで、保育士が給食の準備。遊んでいる子は、そのまま遊びを続け、一番に食べる子(ピンクのスカートの子)は、もう待っていますね。みんなが机についたところで、助手の人が遊具をもとの場所に戻していく。

と言っても、まったくかたずけをしないまま乳児期を過ごすわけではない。

「ハ~イ、おかたずけ~!」というような、一斉での片付け方ではなく、すこしづつ、「これ戻すのてつだってくれる?」「どこにおくか分かる?」「手伝ってくれるの?ありがとう!」という自然な形で、あるべき場所に戻すということを身につけていく。

つまりは、「保育士が全部片付けなくてはいけない」でもなく「使ったものはそのまま出しておいても良い」でもなく、「使ったものはすぐ戻すように常に伝え続ける」でもなく、臨機応変に、あそびやすく、片付けやすく、そして、子どもが安心して過ごせる空気をこわさないことが一番大切、ということですね♪