七面鳥の攻撃

クリスマスが近づいてくると、いろいろなことが気になり始める。今だったら、胡桃。

例年だと親せきがくれるのだけれど、今年は春先の霜で花がやられてしまったとか。くるみはクリスマスのお菓子には不可欠なので、友人宅にお茶を飲みに行くついでにひろわせてもらうことにした。

Mさんの家に到着すると、ご主人が鉄砲を持って長靴をはいていた。今の時期は、シカやイノシシが捕れるという。鹿が捕れたら、うちにも何キロか売って、とお願いしておいた。Mさんに教えてもらった根菜と煮込んだ、タラゴン風味のシチューは冬一番のごちそうだ。

数年前、Mさんは鹿肉を5キロと大きな圧力なべを持ってあそびに来てくれた。わが家もキロ単位で肉料理はするが、シチューに5キロの肉を使ったことはない。「骨が多いから、肉はそんなについていないんだよ」とは言っても、十分肉もついていた。

ニンジン、パセリの根、セロリの根、玉ねぎと鹿肉を煮ながらあくをとり、あくが出なくなったら圧力鍋で柔らかくなるまで煮る。最後にタラゴンと小麦粉をといた生クリーム(甘くないもの)を混ぜて出来上がり。味付けは塩コショウのみ。素材と時間が生みだしてくれる、自然が濃縮されたような幸せな味。

鹿肉の話ではなかった、胡桃だ。

Mさんがご飯を作ってくれている間に、胡桃の木の下を足で探りながら拾っていった。雨が降り続いていたので、地面がドロドロで、胡桃は葉っぱと泥にまみれている。本当なら、今頃は皮が乾燥して中身だけがころころと転がっている頃なのに、雨が続いたので、皮までが腐ったままこびりついている。

確か、奥の方にもくるみの木があったぞ、と思って奥に入っていくと、皮が乾燥し、泥にもまみれていないきれいなくるみが転がっていた。よし!と思ってひろい始めたところに、七面鳥が現れた。

七面鳥は、ただでさえ大きい。大きい上に、攻撃的になると羽を膨らませて二倍ぐらいになる。私が拾おうとしゃがむと、私と同じぐらいの背丈になる。

「プルプル~~~」と鳴きながら身体を膨らませてくる七面鳥は、顔も決して可愛いとは言えないので、不気味な迫力がある。もしかして、つつかれちゃう??と思っていたら、足をあげて蹴りの態勢に入った。

これは相手も本気らしい。胡桃ごときで、七面鳥に蹴られて痛い思いをするのも情けない。泣く泣くどろまみれの胡桃の元に戻った。

「七面鳥って攻撃するの?」と聞くと「攻撃的だよ、つつくし、蹴るし、結構いたいよ」とMさん。「特にね、うちの黒いのは攻撃的だから、そのうちいなくなると思う」「・・・なるほど、クリスマスだしね」

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この黒い七面鳥・・・どうやらクリスマスの食卓にのぼる運命らしい。これは普通の姿。求愛したり、攻撃的になると、羽を膨らませてしっぽを広げ二倍ぐらいの大きさになる。

ちなみに、なぜ七面鳥が攻撃してきたか。胡桃は七面鳥やニワトリにとってもごちそうなので、私は彼らにとって餌泥棒だったというわけですね。