この日のための積み重ね

先日いった保育園で、保育士さんがしみじみといったのが「このための積み重ねだったのだと実感しました」という言葉だった。

彼女のクラスは、何をやっても落ち着かない1歳児クラスだった。落ち着かない原因が職員構成にあるとは分かっていても、保育士不足の今、贅沢なことは言っていられない。

とにかくできることを・・・と、クラスのルールを伝え、あそび方を伝え、生活の流れを作り、ていねいに育児を行い・・・と、基本的なことをきちんと丁寧に行う。ひたすらそれを日々繰り返しながら一年が経った。

そして、2歳児クラスになって、新学期が過ぎたころ。気がついてみると、まるでそれまで大人たちが積み重ねてきたものが一気に花咲いたかように、驚くほどよく話し、良くあそぶクラスになっていた。

とにかく、子どもたちの言語能力が高い。そして、問題解決能力も。大人たちが、丁寧に子どもたちに話しかけ、説明していたことが、そして、トラブルが起こるたびに解決方法を伝えてきたことが、2歳になって突然自分たちの力として発揮されたのだ。

あそびが続くだけでなく、あそび終わっても自然とまた次のあそびに移っていく。雨の一日で外に出られなかったことを考えると、相当長い時間室内で遊んでいたことになる。

アイデアのある子のあそびが他の子に伝染し、その子がまた言葉でのやり取りに加わり、また他の子が・・・とあそび仲間が増えることで、あそびが広がっていく。

室内にある道具も、あそびに合わせて臨機応変に使われる。段ボール積み木は、家になったり、人形のベットになったり、机になったり、かと思えば道路になったりと、次々と変化していく。

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大人があそびをよく理解し、上手に援助しているのかといえば、まったくあそび環境のない保育で働いていた新しい職員が二人と、持ちあがりの職員が一人。彼女も、担当制の2歳児を持つのは初めて。たぶん、彼女たちの中で「守ろう」と決めたのは、あそんでいる子どもたちをしっかりと見られる体制を作ること。そして、常に全体に目を配りながら、必要であれば片付け、助言をし、トラブルの解決を助け(決して、トラブルを"見守る"のではなく)・・・ということだったのではないかと思う。

三人ともが手探りだったからこそ、基本的なことをしっかりと・・・と過ごしての3カ月目だった。

遊具も限られ、人も新しい人が多く、園庭もなく、建物的にも恵まれていない・・・そんな園でできることは、大人の関わりを丁寧にすること、それしかないとも言える。そこには、子ども一人ひとりと丁寧に関われる生活の流れを作る、育児の場面で丁寧に関わる、あそびの場面での関わり、が含まれる。

そして、最低限なければいけない遊具って何なんだろう?ということも考えさせられる。園によっては、遊具を増やせないところもある。そんな園の子どもたちがよく遊び、あそばないからと遊具をどんどんと買い足している園を比べると、子どもたちのあそびや発達に必要なものって何なんだろう?ということをシンプルに考えさせられる。

保育園に行くたびに学ぶことがたくさんで、日々、コツコツと保育をつみあげていく保育士さんたちってすごいなーとしみじみ思うのです。