お母さんの幸せ

B君のお母さんは新しいパートナーの家に引っ越していった。

B君のお母さんというのは三男の小学校の時の担任の先生で、それはそれは素敵な先生だった。1年生の時間割表は蜂蜜クッキーでできていた。アイデアいっぱい、愛情いっぱい、毎日が楽しそうで、三男のクラスの子どもたちにとって、先生の存在は人生のプレゼントだったと思う。

数年前に離婚され、今年になって新しいパートナーの家に引っ越すために学校を辞めたと聞いた。

B君は二男の親友で、B君と妹は、今まで通り実家に住んでいるという。

「・・・・え、で、週末にお母さんは帰ってくるの?」

「来ないよ」

「・・・ご飯は?」

「自分たちで作っているよ。二人とももう子どもじゃないから、何とかしているよ」

お母さんがいない実家・・・そこには、お父さんもいなくて、成人しているとは言ってもまだ学生の子どもたちだけが住んでいる・・・え、どういうこと??と頭の中が混乱してくる。

「でもさ、メールとか電話とかで連絡しているんだよね、きっと」

「してるんじゃない、でも、そんなこと話さないから知らないよ」

この辺りがまさに男の子で、あえて聞かないのだろう。

気になるのでしつこく聞いてみる。

「でもさ、子どもたちは悲しくないのかな」

「大丈夫なんじゃない。子どもたちにも理由があったんじゃないの。もう十分って思ったのかもよ」

本気で言っているのかどうかは分からないけれど、元夫も子どもたち三人もかなり個性的だったのは事実だ。あの先生が、子ども達を置いて・・・と、どうしてもそこがつながらなかったけれど、しばらく悶々と考えているうちに、あの先生だからだったのかな・・・"あの子どもたち"だから大丈夫だと思ったのかな・・・と思うようになった。

「"お母さん"だって、幸せにならないといけないよね」

「そうだよ」

目の前でゲームをピコピコいじりながらだけれど、どうやら本気で言っているらしかった。

そういうことか。

家族みんなが幸せになるって、いろいろな形がある。また一つ学ばせてもらった。